100 アートボードある巨大な Adobe XD ファイルを 2 時間で Figma に移行した話

XD ファイルを開いた瞬間、思わず手が止まった。

アートボードが、画面の端まで埋まっている。縦に 4 列、横に 25 列。100 のアートボードが、コラージュのように並んでいた。

「これ、本当に Figma に変換できるのか…?」

正直、最初の感想はそれだけだった。

これは、その日に私が経験した 2 時間 の物語である。

📌 発端 — ファイルを開いた瞬間、目を疑った

ある日、知人から「XD で作っていたプロジェクトを Figma に移したい」と相談を受けた。聞けば、ある程度の規模のサービスを Adobe XD で長く運用していて、画面が積み重なって アートボードが 100 枚 近くある、巨大なファイルに成長してしまったという。

ファイルを受け取って開いた瞬間、本当に手が止まってしまった。XD の作業領域の中で、アートボードが見渡す限り並んでいる。ズームアウトしても全部の輪郭が画面に収まらない。

「これは、手作業ではどうにもならない量だな…」

そう直感したのが、すべての始まりだった。

Adobe XD は 2026 年からメンテナンスモード に入る。新機能は追加されず、長期的には Figma などへの移行を考えざるを得ない。100 アートボードを手作業で 1 つずつ Figma に移行していくなんて、想像しただけで気が遠くなる。

そこで私は、自分が日常的に開発しているプラグインに頼ることにした。

🎯 実測の動機 — これ、本当に動くのか…?

私が試したかったのは、シンプルな疑問を解決するためだ。

「変換ツールは、こういう “本当に大きいファイル” でちゃんと動くのか?」

スモークテスト用の 5 〜 10 アートボードの XD ファイルなら、どの変換プラグインでも動く。だが「100 近いアートボード」「複雑なネスト構造」「長期間、サービスとともに運用された結果として混在する古いデータと新しいデータ」が同居するリアルなファイルで、変換ツールが実用に耐えうるかどうかは、別の話だ。

検証したかったポイントを書き出すと、こんなところだった。

検証ポイント内容
変換時間変換と確認のサイクルが、現実的に何時間で回るのか
変換精度100 アートボードのうち、何割が手直しなしで使えるのか
対応範囲どの種類の表現で破綻するのか(あるいはしないのか)

複数の変換プラグインから選んだのは Pixel Fine Converter(自分で開発しているプラグインだ)。手前味噌で恐縮なのだが、せっかく作っているので使い倒している。比較記事は別途書いているので、ツール選びの過程に興味のある方は Adobe XD から Figma へ — 移行プラグイン 10 選 を参照してほしい。

🧹 事前準備 — 実測の対象外にした理由

最初に断っておくと、この「2 時間」には事前準備の時間は含まれていない

XD ファイルを受け取ってすぐに変換ボタンを押せばいい、というわけではない。実際には、変換にかける前の「ファイルを整える」工程がある。

  • 不要なアートボード(古いアイデア、テスト用、削除し忘れたもの)の整理
  • リンク切れアセットや欠落フォントの解消
  • 余分な 非表示レイヤーの確認

このあたりの整理に、結局 1 〜 2 時間 ほどかかった。

なぜこれを実測の対象から外したかというと、この作業は XD でやろうと Figma でやろうと避けられない準備工程だからだ。変換プラグインの真価を測りたかった私は、「変換ツール側でどうにかなる時間」だけを正確に把握したかったのだ。

事前準備のやり方そのものは、別記事の Adobe XD から Figma への移行 実践ガイド に体系的にまとめている。今回はその工程を済ませた後の話、と思っていただきたい。

整理を終え、変換用にきれいになった XD ファイルを前にして、私は深呼吸した。

「さて、やってみるか」

⏱️ 変換実行 — 30 分のプログレスバー

Figma でプラグインを起動し、ファイルを読み込ませる。

ボタンを押す。プログレスバー が動き始める。

正直、変換が始まった瞬間は、不安が少しよぎった。XD と Figma はファイル内部の仕組みが違うし、100 アートボードという量に対して、プラグインがメモリを食いつぶさずに最後まで処理を完了できるかどうかは、やってみないと分からない。

プログレスバーは、まずアートボードのインベントリを取るあたりで少し止まり、それから着実に進み始めた。1 つ目のアートボード、2 つ目、3 つ目…と数字が増えていく。

10 アートボードを過ぎたあたりで、私はコーヒーを淹れにキッチンへ向かった。戻ってきても、まだ動いていた。

途中で何度か画面を見たが、メモリ消費は思ったよりは穏やかで、Figma のタブ自体が固まる気配はなかった。

そして 約 30 分後、プログレスバーが 100% に到達した。

Figma のキャンバスに、見覚えのある画面たちが、次々と並んでいる。XD で見たアートボードたちが、Figma の中に「ほぼそのまま」存在している景色は、率直に、ちょっと感動した。

「動いた!」

それが、その瞬間の素直な感想だった。

🔍 主要アートボードチェック — 1 時間の検証

ただ、「動いた」ことと「使える」ことは別だ。ここからが本番の確認作業になる。

100 アートボードを全部、同じ熱量で確認していたら 1 日では終わらない。だから私は、確認の優先順位を立てた。

  • 主要画面(ログイン、ダッシュボード、設定画面など、サービスの中心になる画面)= 約 15 枚
  • 派生画面(主要画面のバリエーション、エラーメッセージ、確認モーダルなど)= 約 50 枚
  • 過去のアイデア出し(後で使うかもしれないストック)= 約 35 枚

まずは主要画面 15 枚を 1 つずつ開いて、丁寧に確認する。確認したのは、おおよそこんなポイントだ。

  • テキスト: フォント、行間、文字サイズが XD の見た目とずれていないか
  • 色とグラデーション: 単色塗りはほぼ問題ないが、グラデーションは要確認
  • コンポーネント: XD のシンボルが Figma のコンポーネントとして再構築されているか、マスター/インスタンスの関係や Variants が引き継がれているか
  • オートレイアウト: XD のスタックやリピートグリッドが Figma のオートレイアウトに変換できているか、子要素の配置・余白が崩れていないか
  • プロトタイプ: 画面遷移のトリガー / インタラクション / トランジションが XD 側の意図通り Figma 側に引き継がれているか
  • 画像とアイコン: ベクター素材がちゃんと SVG として配置されているか

主要 15 アートボードのチェックには 約 1 時間 かかった。1 アートボードあたり 4 分前後の集中目視で、特にコンポーネントとオートレイアウトとプロトタイプは XD と Figma を並べて見比べながら、変換結果を一つひとつ確認していった。多様な機能が一通り変換されている ことを目視で確かめるのは、プラグイン開発者として自身のプロダクトの価値を再確認できる貴重な体験でもあった。

結果としては、主要画面の 9 割以上が「ほぼ完璧」 だった。残り 1 割は微調整が必要だが、いずれも数分で直せる程度の作業であった。具体的にどの種類の差分が出やすいのかは、XD から Figma へ無料で変換 — 有料プラグインに切り替えるべきタイミング で詳しく書いている。

「思っていたよりずっと、いい」

これが正直な評価だった。

⚡ 残りアートボードチェック — 30 分の流し見

主要画面が想像以上の精度で変換できていたので、残りのアートボードの確認に対する不安はかなり減った。

派生画面と過去のアイデアストックは、ざっと 30 分 で流し見した。1 アートボードあたり 15 〜 20 秒、サムネイル全体を眺めて、明らかな破綻がないかだけを確認する形だ。

ここでも、明らかな崩れは見当たらなかった。細かい行間のズレ程度はあったが、これも本番リリース時には個別に直せば済む範囲。

これはテストレベルの軽い確認です

本記事の「30 分で残り 85 アートボード確認」は、あくまで 変換ツールの精度を計測する目的のテスト での話です。実際のプロジェクトで本番リリース前に Figma へ移行する場合は、もっと丁寧に 1 アートボードずつ確認することを強く推奨します。流し見だけでは見落とすディテール(ホバー状態、フォーカス状態、アクセシビリティ属性など)が必ず存在します。

私の実測としては、これで 「変換 30 分 + 主要確認 1 時間 + 残り確認 30 分 = 2 時間」 という結果になった。

実プロジェクトとして本番投入するなら、ここから更に細かいチェックが入る。だがそれは、変換ツールの仕事ではなく、人間のレビューの仕事だ。私が知りたかった「変換ツールがどこまで仕事をしてくれるか」という問いに対しては、十分な答えが出た。

💡 学んだこと — 大規模 XD 移行の現実

100 アートボードの Adobe XD ファイルを 2 時間で変換してみて、いくつか学んだことがある。

学び 1: 事前準備が一番大事

実際の所要時間で言えば、変換ツールが動いている 30 分よりも、事前のクリーニング作業(1 〜 2 時間)の方が長い。変換の精度は、入力ファイルの綺麗さで大きく変わる

不要なものを削り、命名規則を整え、リンク切れを直す。地味だが、ここを省略すると変換後の手直し時間が膨らむ。

学び 2: 変換ツールは「変換そのもの」より「確認の効率化」で真価が問われる

意外なことに、変換ツールの真価は変換速度そのものではなく、確認作業を短くしてくれる精度の高さ にあると感じた。

変換精度が低いと、変換後にすべてのアートボードを目視確認 + 手作業で直すコストが膨大になる。これでは「手作業で 1 から作り直したほうが速い」みたいな逆転が起きる。精度の高い変換は、確認作業を「微調整」のレベルまで縮めてくれる。

学び 3: 一度に全部やるか、分割するか

100 アートボードを一度に変換するか、ファイルを分割して数回に分けるかは、悩ましい判断だ。私は今回、一気に変換するアプローチを取ったが、それが正解とは限らない。

  • 一気にやる: 変換後の Figma ファイル内で関係性が見通せる、内部リンクが保たれる
  • 分割する: メモリリスク低、エラー時の影響範囲が小さい

ファイルがあまりにも巨大(200 アートボード超など)な場合は、分割を検討する価値がある。XD と Figma の操作の違いについては、Adobe XD の使い方ガイド も参考になるはずだ。

🎬 まとめ — そして、種明かし

「100 アートボードある巨大な Adobe XD ファイル」を Figma に移行する 2 時間。私にとってこれは、ただの変換作業にかかった時間ではなく、変換ツールの開発者として自分の作ったものが現実のスケールに耐えるかを試した時間 でもあった。

結果として、Pixel Fine Converter は耐えた。それも想像以上に。100 アートボードが Figma に並んだ画面を見たとき、純粋に「動くものを作れていてよかった」と思った。

100 アートボード環境で動いた性能は、もちろん 10 や 50 アートボードでも同じだ。気になった方は、無料枠(3 アートボードまで)から触ってみてほしい。

📝 この記事のフィクション要素について

本記事は実体験をベースに執筆していますが、ちょっとだけ数字をわかりやすく表現してお話してきました。

  • アートボード数: 実際は 87 枚 → 記事では「100 アートボード」に丸めて表記
  • 時間配分: 事前準備時間(1 〜 2 時間)は「変換 + 確認」の 2 時間に含めず計測対象外

詳細は大目に見ていただき、変換作業の大筋を楽しんでもらえたら嬉しいです。

  • 変換の精度
  • 変換時間 30 分
  • 主要画面 9 割以上が手直しなしで使えた

といった核心の数字と挙動は、実際の検証で得られた、事実に基づいたデータとなっています。

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